伝説に散った龍Ⅱ












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「ーー大分長くお喋りしてたようで」





二人仲良く談笑しながら待合室に戻ると、
不機嫌そうな烈が、私を見るなりそう言った。



なぜか口調が辛辣だった。





「…なんか怒ってる?」



「浮気か?爽」





標的が自分に移った近藤。



彼はあははと緩く笑うと
『そんな訳ないでしょ』と私の肩を叩く。



割と強めに。



かと思えば



ね?芹那ちゃんと
唐突に同意を求められる。



私ももうなんだかいっぱいいっぱいで



『そうだねー』と軽い口調で返事をして



お尻にあまり親切でない病院のイスに
ドカっと座り込み



一つ、息をついた。








































時刻は、18時30分。



長い一日だった。
腕時計から目を逸らし、ほとんど飛びかけた意識の中でそう思う。





「…私、ちょっと寝ていい…?」





朧意識に烈へそう尋ねれば、烈はまた





「ああ」





二文字の、優しい返事を返す。






















そうして、意識が完全に飛ぶ10秒前。





「ちょっと待て芹那、柚は?」



「…え?」



「柚はどこに置いてきたんだよお前」





盛大な忘れ物を思い出す。
























































「…ヤバい」



「何かまずいことでも?」



「かんっぜんに忘れてた」



柚。



今まさに狼の溜まり場で息をしているであろう、柚。



まずい。



早く迎えに行くって言ったのに。

































「烈、」



「あ?」



「ごめんちょっと外すね」



「…は?」



「またあとで連絡するから!!」





事情が事情なだけに、『狼のたまり場に迎えに行くんです』なんてことは勿論言えない。



捕まって、全部吐かされればボロが出る。



…逃げよう。



即行動。私は背を向けて走り出した。



































「っおい芹那!」





後ろからは、私を呼び止める烈の大声。





「止まれ馬鹿!俺も一緒に、」





焦ったようなその声は、そこで途切れた。