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side爽
昔から、一人で行動するのが好きだった。
何となくだ。何となく。
別に、一人じゃなきゃいられないというわけではない。
寧ろ誰かといる方が好き。
ただ
時々ふと、一人になりたいことがある。
そういうとき、孤独は俺を包み込んでくれた。
きまって、無口に。
そういう意味で
一人で居る時は何も考えずに済むから楽だった。
それだけ。
その日はちょうどそんな日だっただけ。
ーーよく立ち寄る喫茶店の野外スペースに座って、読書をしていた。
「ーー伊織、私ちょっと御手洗」
「あ、うん、わかった!」
「ごめんちょっと待ってて」
「ゆっくりしてきていいよ〜」
妙に間伸びた声を出す女の髪は桃色で
今から手洗いに立つらしいもう一方の女は派手な金髪。
目を引かないわけがなかった。
この辺ではあまり見ない二人組。
しかし、彼女らが周りの目を引く原因が
どうやらその派手な見た目に限ったことでは無いらしい、と気がついたのは
俺が、何気なくそのテーブルに目をやったときのこと。
「、っ」
ハッとした。
自然と瞳孔が開かれた。
桜色の髪を持つ彼女に、俺の目は釘付けになった。



