伝説に散った龍Ⅱ













黒くも暖かい笑顔を見せる、



近藤の優しさが、心に染みた。何となく。



ずっと聞きたかったことがあって。
いや、彼相手にはそんなの幾つもあるんだけど。



…それは、伊織にも聞けなかったこと。



今聞いておこうと思った。



その返答次第で
一発、殴る準備をした。
















































ーー二人はどうやって出逢ったのか。



彼は、伊織のどの部分を決定打に
『彼女を守ろう』と決めたのか。



聞いておかなくてはならない。



二人の大恋愛を妨げる第一の関門は、この私なのだから。





「第一問」



「え?」



「伊織の好きなところを挙げなさい」



「え、ちょ」



「いくつも、とは言わない。寧ろ一つだけ」



「…唐突だね」



「当然でしょ。時間なんて与えたらあんたのペースに持ち込まれる」





あはは、と笑った近藤。



鈍く彼を睨みつける私に、平たく笑った近藤は



ぽつり、ぽつりと話し始めた。




























抱きしめた思い出を、離してしまわないように。



丁寧に。