伝説に散った龍Ⅱ





















───私は、自分のしたことを忘れない。



そして。



アイツがお前たちにしたことも、忘れない。



























































これはあまりにも重い十字架。



私一人で背負うには重すぎる。




だから一層、大切な人たちに『一緒に背負って』などと



軽々しく口には出せない。




































































逃げることしか。





「棗、聞いて」





絞り出した声はこんなにも、か細い。





───お願い、これが、最後だから。





口には出さなかった言葉があって。



あまりにも切なげなその響きが、私の涙を誘った。





































「ゼッツー、売ろうかなと思ってる」



「、っ」



「もう、戻れないの」



「…お前」



「私は、お前たちから離れたい」





私と棗を取り囲む空気の温度が一気に下がるのが分かった。










































































「ちょっと待てよ、セリナ」



「…ごめんね」



「俺たちは戻ってきてほしいと思ってる、それこそ皆同じ気持ちだ」



「…うん」



「お前の気持ちも無視できない、だけど、」



「うん」



「……お前は、狼に戻りたくねえのかよ」



「…大好きだよ、皆のこと。この世の何より」



「っ、」



「これだけは、嘘じゃない」



「じゃあ戻ってこいよ馬鹿セリナ!!」



「……うん」