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side雄大
「ーーセリナ」
俺がそう其奴を呼べば
「…雄大くん」
いつまで経っても色褪せない白金色がふわりと宙を舞った。
久しぶりに聞くその声は、俺の耳を心地よくくすぐる。どうしようもなく。
「久しぶりだな」
「会ったじゃん。ちょうど一週間くらい前に」
「…まじでお前だったんだな、あれ」
「…雄大くん全然気付いてくれないじゃん。私割と傷ついたから」
「いやいや。自分の変装振り返れよどう考えてもヤバい奴だったぞ」
俺がそう詰め寄れば、セリナはあははと軽く笑う。
随分久しぶりだった。
長いこと、こいつとこうして喋っていなかった。
長いこと、こいつの笑顔を見てなかった。
だから尚更、忘れなかった。
「…ひとつ言っていい?」
「なに?」
「お前に聞きたいことがいっぱいあんだけど」
「うん」
「俺らのことどう思ってる?」
本当に永い間、俺たちの前から姿を消したコイツに聞きたいことが山ほどあった。
言いたいことも。
言わなくちゃいけないことも。
だけど色々考えていたらその分色々吹っ飛んで
気がつけば、口がそう動いていた。
そしてそれは
『よくやった俺の口。』
そう褒めてやりたくなるほどの最適解のように思えた。
「…なに急に」
至極当然のようにセリナは笑う。
そして、まるでずっと前からそこに居たみたいに
「大好きだよ」
優しく、吐き出す。



