彼らのあの日の行動が全て
私を思って。
私のためにされたものだったのだとしたら。
私が、
もうあいつらに会えないんだろうか、なんて確信していたことも。
みっともなく落胆して、怖気づいていたことも。
───間違い、だったのだろうか。
頭が一瞬真っ白になって
また直ぐに、真っ黒い考えでいっぱいになる。
「…それが真実?」
恐る恐る訊ねる。
棗が頷いた。
まるで満足だ、とでも言うような
そんな、満ち足りた笑顔を見せて。
「…なんだ」
何だか拍子抜けだ。
少しだけほっとして。
そして少しだけ、決意が強くなる。
「…だから、セリナ」
「うん」
「帰ろう?つもる話は帰ってからすることにして」
「うん………でも、」
それでも。
私の意思は変わらない。
変えない。
変えたら最後、
お前たちをも裏切ることになりそうだから。
───私は逃げるよ、棗。
棗だって覚えているでしょう。
あの夜のこと。



