――記憶がフラッシュバックする。
机にマジックで書かれた恥ずかしいラクガキ。
それを見て嘲笑うクラスメイト。
気持ちの悪いことをいう、男子。
非通知からの、着信。
あんな想い、もう、したくない。
「高校の勉強って急に難しくなってさ。ついていくの大変だよね」
猫なで声が耳につく。
「そこで、勉強会しよーってヒナコと話してて」
――え?
「せっかくだから。碓氷くんも一緒にどう?」
そんな話、してない。
するわけない。
だって私たち、お互いに、友達だと思ってないって言い合ったし。
あんな嫌がらせだって――。
「ねえ。ヒナコ、碓氷くん一緒がいいよね?」
そういって私に笑顔を向ける麻美が、悪魔のように見えた。
(それは、麻美でしょ?)
悠と一緒がいいのは、麻美の方だ。
私をダシにするな。
そう、言いたいのに。


