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翌日、学校に近づくにつれてどんどん足が重くなっていくのがわかった。
行きたくない。
あの教室に入りたくない。
クラスメイトと顔を合わせたくない。
だけど、行きたい。
だってそこには、先生が、いるから。
先生は私がイジメられていることに、ううん、そこまでハッキリしていなくても学校生活が上手くいっていないことに何かしら気づいているのかもしれない。
だからこそ紅茶淹れてくれて。
優しくしてくれて。
『放っておけるわけないだろう?』
あれは、同情ですか。
だったら、それでもいい。
それでもいいから先生の近くにいられたら嬉しい。
(……なに考えてるんだろう)
まともな思考回路じゃなくなっている。
考えだって支離滅裂で。
大人になりたいから卒業したいのに。
卒業したら会えなくなるから生徒でいたい。
矛盾、しまくり。
栗原先生のことになると、私、どうかしてる。
……作りたい。
昨日みたいな、先生との秘密。


