「先生」
「ん?」
「私、悠には、恋愛感情とかないですから」
「へえ。そう」


先生は、私のこんな話、興味ないかな。

私は、あるよ。


先生の恋愛観とか。

先生の、好きな女の子のタイプとか。

先生には彼女がいるのか、とか。


そんなことがすごく気になるんです。


恋の話には気が進まなかった私が。

どういうわけか、先生のことなら知りたいんです。

どんな小さなことでもいいから。

知りたくてたまらないんです。


「宇崎」
「はい」
「どうしてそんなこと俺に言うんだ?」


――え?


「いや、いいよ。聞くよ。宇崎の話なら、どんなことでも聞いてやろうと思う」
「先生……?」
「今朝みた夢の話でも。失敗話でも。それから、何歳までオネショしてたか、とか」
「そ、そんな話。絶対にしません……!」
「はは」


どうして言うか、なんて。

先生に悠との関係を勘違いされたくないからで。


どうして勘違いされたくないか、なんて。

そんなの。

そんなの。


「それを伝える相手って――俺かな」