先生の年は、いくつですか。


誕生日は、いつですか。


どこの高校に。


どこの大学に、通っていましたか。


先生がもしクラスメイトで。


隣の席、だったら。


(恋、しちゃってたかな)


「ヒナコちゃん、さ」


呼ばれて意識が戻る。

いま、私、なにを考えていたの?


「なに」


隣の席の藤ヶ谷(ふじがや)くんは、たいして仲がいいわけじゃないのに名前にちゃん付けで呼んでくる。


『ヒナコちゃんって呼んでいい?』と許可をとられたわけでもなく、初対面からいきなりそうだった。


ピアスをたくさんつけていて、制服を着崩していて、なんだかチャラチャラしている人だ。


あと、無気力って感じ。よく眠っている。


「さっきから、同じ人ばっか見てるね」
「へ?」


ハッとして、慌ててノートを閉じる。


(……見られた?)


「ヒナコちゃんも、くりりんファンか」
「あ……いや……」
「まー、人気あるよね」


変なこと言われるかと思ってちょっと身構えてしまったけれど、普通の会話だ。


「っていうか。ダイジョーブ?」
「え?」
「目、つけられたんでしょ」