十八で一人暮らしを始めました。


料理も家事も経験があったので、開始直後から卒なくこなしていた方かと思います。


二十一の、夏。


『お前の妹だ。名前は、サクラ。暫く面倒みててくれ』


――隠し子でした。


あろうことか、父は

他所で子を作っていたのです。


私は大学生活傍らサクラという少女の面倒をみることにしました。


というよりは、見ざるを得なかったのです。


父とはまもなく連絡が途絶え、相変わらずどこでなにをしているかわからないような生活を続けており、当時五つだったサクラを迎えにくる様子もなく。


私といえば三回生で、単位も順調にとっていて空き時間は比較的多くありまして。


父のつてで入園させたらしい幼稚園にサクラを通わせながら、朝晩はうちで食事をとり、夜は風呂に入れ一緒に眠ってやりました。


親子ほどの年の差でした。


当然何かをする際に折れるのはきまって私で、兄妹喧嘩もなければ、ほぼ、子育てに近いようなことをしていたと思います。


子を授かったことのない私が子育てを語るのはおこがましい話かもしれません。

一番手の掛かりそうな乳幼児期のうちの大半は知らないのですから。


それでも、サクラは妹でありながら、子でもあるような、そんな存在で。

半分だけ自分と同じ血の流れる愛らしい生き物を愛でていました。