ああ、嬉しい。

甘い雰囲気でなくても。


どんな会話でも、先生となら、ずっとドキドキしてる。


「つまりな。俺、学生時代ずっと本ばかり読んでるようなやつだったから。小学2、3年のときには、そんなニックネームついてたな」


まだ、グラウンドを駆け回ってる子が多い年頃にそんなに落ち着いていたんだ。


「いかにも小学生が言いそうですね。眼鏡かけてたら眼鏡くん。本読んでたら二宮金次郎とか」
「そうそう。二宮金次郎も言われたわ」
「ふふ」
「あとは。ハカセ」
「ハカセ?」


ハカセって。科学の博士みたいな?


「理科の実験みたいなの、めちゃくちゃ好きで。自由研究なんて夏休みに数日家に帰らずにやってたな。合間に読書もしながら」


先生の少年時代、ほんと未知すぎるんですけど。


「それじゃあ秘密基地も自由研究の一貫で?」
「そうだなー。外で火を起こして釣った魚を焼いて食ってたな」
「キャンプですか?」
「いや。あれは野宿といった方がいいな」
「インドアなのかアウトドアなのかわかりませんね」