だったら私も、いつまでも先生って呼ぶの変かな。

栗原さん?

いや、それは堅い?


「先生って、学生時代、ニックネームとかありましたか」


すると、先生は顎に手をあてて少し考えたあと


「芥川」
「……へ?」
「あと。太宰、とか。漱石とか」
「なぜ文豪なんですか。そして夏目漱石だけ、下の名前呼びなのも謎なのですが」
「おお、よくわかったな。さては文学少女か宇崎は」


(あ、名字で呼ばれた)


今の先生、学校で雰囲気そのままだ。

名前で呼んでくれたときは、なんだか少し違って見えたんだけど。


いつもの先生も、少し違う先生も、どっちも素敵だ。


「文学少女……というよりは、今のは有名どころですので」


先生は、国語教師だし。

朝読書の時間も大切にしているし。(というか生徒より心待ちにしているよね……?)


やっぱり本が昔から好きだったんだなあ。


「今度、オススメの本とか。教えてくれますか」
「喜んで」