ここは、一番広い部屋なのかな。

リビングみたいな空間で、三人で囲んでも全然あまるくらいのテーブルがあって、朝食はここでみんなで食べた。


(ここで、将来は、先生と、先生の子供とご飯を……)


また、そんな想像を頭に巡らせている。

かつては虚しかった妄想も、今は、虚しくなんてない。


だって、それは実現するんだもん。


「疲れたろ」
「え? そんなこと――」
「あるよ。子供の相手というのは、思いの外、体力を消耗する。お疲れさま。ほんとに頑張り屋さんだな。ヒナコは」


そういって、ポンと頭を撫でられると。


負の感情も、疲れも、悪いもの全部、どこかに流れて言っちゃう気がした。


「先生、すきです」
「俺もヒナコが好き。ここに戻るって考えたら仕事めちゃくちゃ頑張れた」


先生は、私を名字で呼ばなくなった。