こんなに辛いのに。


先生を見ている間だけは。


帰って、引き出しの、消しゴムを取り出して。


握っている間は。


握って、先生のこと、考えている間は。


心から幸せだった思えるのだから。


(あ)


先生と、目が合った。


その瞬間、にっこり微笑んでもらえて。


ボロボロに傷ついた心が、ドクンと大きく波打って。


カラカラの枯れかけの花に水が注がれたように。


私は、それだけで生きる希望が湧いてきて。


(恋って、すごいな)


先生と、また、紅茶が飲みたい。


先生の、いろんなこと、知りたい。


先生の子供の頃に作った、秘密基地の話が聞きたい。


だけど。


だけど。


「朝読しっかりしろよー」