「……っ」
髪を掴む手に、一層力が込められる。
「返事は?」
「……はい」
「今すぐ送っちゃダメだよ。ちょっと二人で相談したって感じを出さないとね。昼休みに連絡しておいて。忘れずに。わかった?」
「はい」
「それで、あんたは用事があったのを思い出して家に帰る。だから、うちは碓氷くんと二人で勉強会。それでいいよね?」
「……はい」
「あはは! バカのひとつ覚えみたいに。はいってしか言えないなんて。ほんと笑える!」
そういって、麻美が、私を蹴飛ばした。
尻餅をついた衝撃よりも、周りの目が痛い。
「女子こえー」
「なにやったんだよ宇崎」
驚いている人もいれば、呆れている人もいる。
麻美の願いを叶えてあげたところで、やっぱり、私は一人ぼっちなんだ。
麻美に見下されていることに変わりはないんだ。
このまま麻美の犬みたいなことさせられるの?
(消えたい、)
今すぐに消えてしまいたい。ここから。


