こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「お前の家はどこだ。このまま送って行ってやる」

「……え?」

それを聞いて身構えていた力がすっと抜けた。というより拍子抜けした。
まるで興味がない、といったように最上さんはそれ以上木崎課長とのことを聞いてくることはなかった。

車内には、いつも最上さんがつけている爽やかなムスクの香りがして、その香りに包まれていると、不思議と乱れた気持ちも穏やかになっていくのが不思議だった。

今日は帰ってゆっくり休みたい。泥のように眠りたい。

「……荻窪です」

疲労に負けた私は、素直にそう答えた。