こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「きゃっ」

「おっと」

出会い頭に思い切り誰かと衝突してしまった。よろけそうになる身体を咄嗟に支えられて顔をあげると、目の前に立っていたのは。

「も、もがみ……さん?」

なんでこんなところにいるの?

そう問おうとしたけれど、喉元が締め付けられてしまったように声が出ない。

「ちゃんと前見て歩けよ……ん?」

「すみませ……」

目元に溜まっていた堪えきれない熱い雫がぽろりと落ちる。慌てて下を向いたけれどもう遅い。

泣き顔を見られてしまった。よりによってこの男に――。

「ちょっとしたミーティングが本社であって、今終わったところなんだが……どうした?」
ただならぬ私の状況に、最上さんが訝し気に私を見下ろしている。

「別に、どうもしません」