こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

車は走る。

どこに行くか目的は決まっていない。視線の先にうっすら海が見えてきた。

私の左薬指にはめられた指輪が、太陽の光に反射して煌めいている。長い年月をかけて最上さんは私を支え、密かに見守っていてくれた。紆余曲折あったけれど、私はやっと光り輝くことができたのだ。

最上さんは私にとって自分を導く道しるべのような人。でもときには共に迷い、悲しみ、喜んだり、困難にぶち当たることがあってもそんなときこそ手に手を取り合って歩いていきたい。最上さんとこれから始まる恋愛は想像もできないくらい素晴らしいものになるだろうと、私は微塵の迷いもなく確信していた。

「色々あってまだ疲れが取れてないだろ? その、昨夜も無理させたし……少し寝たらどうだ?」

最上さんが運転しながら気を使ってBGMのボリュームを下げる。昨夜の露天風呂での光景が蘇って一瞬顔に熱を持ったけれど、それ以上に安堵感からくる安らぎに徐々に瞼が重くなっていくのがわかる。

「じゃあ、ちょっとだけ……」

今まので私は「大丈夫です」って強がって無理をしていた。けれど、そういう私はもうやめた。

最上さんだけになら、甘えてもいいんだ。

そう自分で自分を許せるようになったのは彼のおかげ。

きっと、私が口をあけて間抜けな顔で寝ていたとしても、最上さんは優しく私の頭をなでて甘いキスをしてくれるはずだ。

私の小指には見えない糸、今までさんざんこじれて絡まっていたけれど、それが今、最上さんへとまっすぐに繋がり――そして朱に染まった。
                 おわり