慌てて徳利を押さえようとしたけれどもう遅い。畳の上に徳利が転がり、私は日本酒がとくとくと流れ出してシミを広げていく様子を、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
「お、おい! 君!」
なんの無礼だ!と言わんばかりに中根本部長が眦を吊り上げて腰を浮かせた。
「も、申し訳ございません!」
焦っておしぼりで拭こうと体勢をかがめたそのときだった。着物の合わせ目にしっかり挟んでおいたはずのスマホがぽとっと畳に落ちて私は目を見張った。
「ん? なんだそれは?」
しまった――!!
そして、こういうときに限って不運は度重なる。
落ちた弾みでスマホが立ち上がり録音のアプリが映し出されてしまったのだ。
一瞬でその場の空気が凍り付くのがわかった。峰岸専務がスマホに視線を落とすと、みるみる顔つきが変わり私が何をしていたのかを瞬時に悟る。
「お前、まさか……今までの会話を録音してたんじゃないだろうな? どうなんだ、答えなさい!」
峰岸専務に厳しい口調で問い詰められる。私は俯きながら唇を噛んで畳に爪を立てた。
絶体絶命。
そんな文字が私の頭を埋め尽くす。
「お、おい! 君!」
なんの無礼だ!と言わんばかりに中根本部長が眦を吊り上げて腰を浮かせた。
「も、申し訳ございません!」
焦っておしぼりで拭こうと体勢をかがめたそのときだった。着物の合わせ目にしっかり挟んでおいたはずのスマホがぽとっと畳に落ちて私は目を見張った。
「ん? なんだそれは?」
しまった――!!
そして、こういうときに限って不運は度重なる。
落ちた弾みでスマホが立ち上がり録音のアプリが映し出されてしまったのだ。
一瞬でその場の空気が凍り付くのがわかった。峰岸専務がスマホに視線を落とすと、みるみる顔つきが変わり私が何をしていたのかを瞬時に悟る。
「お前、まさか……今までの会話を録音してたんじゃないだろうな? どうなんだ、答えなさい!」
峰岸専務に厳しい口調で問い詰められる。私は俯きながら唇を噛んで畳に爪を立てた。
絶体絶命。
そんな文字が私の頭を埋め尽くす。



