こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

どこの有名大学を卒業してきたか知らないが、俺から見ればまだまだ学生のあどけなさが残るガキたちだ。会社に入って一年目はとにかく自分の実力を認めてもらいたい一心で周りが見えなくなる。木崎はそんな新入社員のいたいけなハングリー精神を利用した最低野郎なのだ。

「もし、木崎課長が不正行為を行っていたとしたら、今後俺らはどうしていけばいいんでしょうか……?」

そう問われて俺は腕を組んで考える。

おそらく、木崎は今後もまた同じように「必ずここも契約が取れるから」と言って彼らを駒に使うだろう。かといって、あくまでも木崎は上の立場の人間だ。下手な態度は取れない彼らの気持ちはわかる。

「詳しいことはこちらでも調査段階だ。だから今まで通り、もし木崎が話を持ってきたとしても……その通りにしろ」

「え? でも――」

「いいんだ。俺に考えがある。お前たちにも悪いようにはしない。営業成績も伸びるしな。時間を取らせてしまってすまなかった」

俺が守るべき迷える子羊たちがここにもいた。先日の中西専務の話といい、木崎はおそらく黒だ。しかし、なにも関係のない社員のモチベーションを下げるようなことはしたくない。社内の信用問題にも関わる。