こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

営業部長の出してきたリストによると、ここにいる社員は営業成績がイマイチ伸びず、正直うだつの上がらない今年の新入社員ばかりだ。必ず契約が取れるから、と甘い言葉を囁いて彼らを利用した木崎への怒りは計り知れない。

「……センター長のおっしゃる通りです。言う通りの会社に営業をかければ、絶対契約が取れると言われて、でも、どうしてこんなことを最上さんに言わなければならないんでしょうか? なにか関係がありますか?」

眼鏡をかけ、見た目はインテリ風の男性社員が俺への不審をちらつかせつつ、そう契約成立までのことの成り行きを認めた。強気な口調は自分のプライドを守るためか。

「ああ、関係大ありだな。木崎に言われて取った契約が不正なものだとしたら……? 俺はソニリア代表の跡取り息子として見逃すわけにはいなかないからな」

「えっ!?」

コールセンター長がまさか自分の勤める会社社長の息子だったとはつゆ知らず……と言った顔でそれぞれが驚いている。