こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

やっと、やっと俺のところに堕ちてきた。

そんな彼女の柔らかい身体を、俺はこの上なく愛おしく抱きしめた。

想いが通じ合うって、こんな感じだったんだな……。

初めて味わう温かくてずっと浸っていたいこの感覚によって、俺の中でいまだに巣くっていた過去のトラウマが徐々に消えてなくなっていく気がした。
そうだ。いつまでも昔のことに捕らわれていたって、前には進めないだろ。
そんなことをしみじみ思うなんて、まだ二十代でガキだったころに比べたらずいぶんと感慨深くなったものだ。

彼女を守るとそう誓ったからには、暗躍している輩をたたき出さなければならない。

「すべて守るよ、お前の親父さんもSAKAIも……そしてお前のことも」

安心させるため、俺の腕の中で顔をうずめている彼女の頭を撫でながら言うと、嬉しそうに「……はい」と微笑んだ――。