翌日。

仕事が終わって一旦帰宅すると、部屋はまだ暗く彼女はまだ帰ってきていないようだった。会社での彼女は俺の前で努めて平静を装っていたが、やはりあんなことをしてしまった手前、仕事以外の会話の糸口が見つからず、ぎくしゃくしてしまう。謝らなければと思いつつもうまく言葉にならない自分が嫌になった。

こんな無様な姿に笑いさえおこる。

絵里奈が車でマンションまで迎えに行くというので、エントランスに出てみるとちょうどその車が到着した。

「元気だった?」

運転席から降りてすぐに絵里奈は俺に抱き着いてきて、やっとここで「久しぶり」と言って笑った。