こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「失礼します。あ、おふたりともご一緒でしたか。ああ、面会時間に間に合ってよかった」

仕事が終わってきたのか、中西さんがスーツ姿に鞄を携えて病室に入って来た。社長である父に代わって激務を強いられていないか心配だったけれど、中西さんはにこりと笑顔を向けてくれた。

「お見舞いに来てくださってありがとうございます。あの、会社のほうはどうですか? たぶん、父は一番そのことを心配しているんじゃないかと思うんです」

眠る父の顔を見ていると、「会社が気がかりだ」という意思が伝わってくるようで、私にもなにかできないか考えを巡らせているところだった。最上さんの出資のおかげで一時持ち直しているとは言っていたけれど……。しかし、中西さんは「大丈夫ですよ」と言ってくれる期待に反し、顔を曇らせた。

「……実は、そのことでお話があるんです。社長の前でこんな話も何ですから、場所を変えましょうか」

院内二階にあるデイルームへ行くと、そこには誰もいなかった。最上さんが気を遣って私と中西さんにコーヒーを自販機で買ってきてくれて椅子に座った。中西さんは難し気な顔をして手渡されたコーヒーに口をつけることなく、小さくため息をつくと小さく口を開いた。

「SAKAIはもうだめかもしれません」