こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

それから二、三日会社を休めと最上さんに言われた。

私も仕事ができるような精神状態ではなかったため、父が倒れてから毎日病院に足を運んだ。

ベッドに横たわる父の姿を見るのは辛かったけれど、何度も眠り続けているその意識に語りかけた。

「お父さん、今日はね、すごくいい天気なんだよ。もうすぐクリスマスでね」

いつものように「そうか、じゃあ散歩日和だな」なんて陽気に笑ってくれたらいいのに。

看護師さんいわく、意識障害のときもっとも回復が早い機能が聴覚と言われているそうだ。だから普段話さないようなくだらないことを言ってみるけれど、一方通行の会話に虚しさがこみあげてきてしょうがなかった。

最上さんも忙しい中、仕事が終わり次第お見舞いに来てくれる。この前、「クラシックを聴かせるといいらしいぞ」なんて言ってたくさんCDを買ってきてくれた。