こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「術後ですので、面会は短めでお願いします。どうぞ」

父に会うのが怖い。どんな状況でも受け入れなければなんて覚悟はまだない。

二重、三重の重厚な扉が開かれ、恐る恐る前に進むと、そこに変り果てた父が上半身をあげた状態でベッドに横たわっていた。

「お――」

お父さん!と思わず叫んだつもりだったけれど言葉にならなかった。頭髪はすべて剃られ、ぐるぐる巻きに包帯に巻かれている。開頭手術の影響で顔は別人のように腫れあがっていた。頭にはドレナージのチューブが取り付けられ、意識はない。

「酒井、おい、しっかりしろ」

その姿に思わずこみ上げたものを押さえ、よろけた身体を最上さんが支えた。