こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「先ほど、医師のほうから今の段階での状況説明がありました。かなりの出血量で、脳室まで血液が入り込んで脳室内穿破を起こしているそうです」

「脳室内穿破?」

聞きなれない単語に目が点になっていると、中西さんは難しい顔をして言った。

「血液で脳室が圧迫されると水頭症を引き起こす可能性があると、状況は思わしくないそうです。非常に言いにくいのですが……覚悟をしておいて欲しいと言われました」

そ、そんな……。

父の状態は予想よりはるかに悪かった。きっと大丈夫だという希望も打ち砕かれる。
そのとき、ICUの部屋から白衣を着た男性医師が出てきた。