こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「俺が高校生のときだったな、出先で倒れて……そのままだった。縁起でもないな、けど、お前に辛い思いをさせたくないんだ。親父さんが一命をとりとめるように、今は祈るしかない」

そのときのことを彷彿させたのか、病院の名前を聞いたとき最上さんはハッとしたような顔をした。彼の辛かった思いが伝わってくる。「きっと大丈夫」そう返事をするように、私はその手を握り返した。