「大丈夫か?」
「はい……」
車の中で何度も泣き出しそうになり、歯を食いしばっていると最上さんに「気をしっかり持て」とぎゅっと手を握られた。すっかり冷たくなってしまった私の手は触れられた部分だけ熱を取り戻す。
国立清栄病院は都内の中核病院として医療に徹している総合病院だ。敷地面積も広く、ひとりだったらきっと迷ってまどろっこしい思いをしていただろう。けれど、最上さんはナビに記されているルートを途中でショートカットし、なにもかもスムーズだった。
「国立清栄病院は昔、母が入院していた所なんだ」
沈黙の中、運転する最上さんが小さく言った。
最上さんのお母様が? そっか、だから道を知っているんだ。
彼の口から今までお母様の話を聞いたことはない。今はどうしているのか聞いてもいいものかと躊躇していると。
「はい……」
車の中で何度も泣き出しそうになり、歯を食いしばっていると最上さんに「気をしっかり持て」とぎゅっと手を握られた。すっかり冷たくなってしまった私の手は触れられた部分だけ熱を取り戻す。
国立清栄病院は都内の中核病院として医療に徹している総合病院だ。敷地面積も広く、ひとりだったらきっと迷ってまどろっこしい思いをしていただろう。けれど、最上さんはナビに記されているルートを途中でショートカットし、なにもかもスムーズだった。
「国立清栄病院は昔、母が入院していた所なんだ」
沈黙の中、運転する最上さんが小さく言った。
最上さんのお母様が? そっか、だから道を知っているんだ。
彼の口から今までお母様の話を聞いたことはない。今はどうしているのか聞いてもいいものかと躊躇していると。



