こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「父が、倒れたそうです。私、今から病院に行きます」

スマホをバッグに突っ込んで駆け出すようにリビングから出ようとすると、だいたいの状況を把握した最上さんが私の肩を掴む。

「搬送された病院はどこだ?」

「国立清栄病院です。タクシーを配車してもらいます」

それを聞いて最上さんが顔色を変えた。

病院の名前は聞いたことはあったけれど、場所までは詳しくわからない。混乱している私に最上さんがスマホのアプリで手際よく何かを検索する。

「この時間だと到着まで待たされる。俺の車で今から直接病院に向かおう」

喉が締め付けられるようで声が出ない。代わりに私はコクンと頷いて車の鍵を手にした最上さんとマンションを後にした。