こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~

「どうして――」

どうしてそんな辛そうな顔をするんですか?

そう尋ねようとしたら思い切り口を塞がれる。その唇はわずかに震えていて最上さんの中の迷い、恐れ、不安が流れ込んでくるように思えた。

「やめてください!」

気がついたら、私は無意識に最上さんの頬を叩いていた。パン!と乾いた音が部屋に響いて、最上さんは打たれたまま固まっていた。

「これ以上したら、きっと最上さんの心が壊れちゃう!」

「ッ――」

私の訴えを聞いた最上さんが短く息を呑んだ。すると、我に返ったように私から身を離し自分がしたことに目を見開いて放心していた。

「すまない。こんなことするつもりじゃ……頭冷やしてくる」

「最上さん! 待って!」

呼び止める私を無視して部屋を出て行く。そしてバタンと玄関のドアが閉まる音がした。

どうしてこんなこと……。

乱れた胸元を整えることも忘れ、私は膝を抱えてうずくまった――。