睡眠なんて時間の無駄だというのに。

長い回想から現実へ引き戻される。

最近の激務が祟ってか、眠りたくないという意に反して悲鳴を上げていた身体がついに強制的にシャットダウンされた。眠っていい夢などみたことはない。子どもじゃあるまいし、後味悪い夢で左右されるなんてらしくないと、睡眠を拒否しているうちに“不眠症”という体質になってしまった。そうやって嫌なことから目を背ける自分に自嘲しながら、傍らで眠る彼女の頬を再び撫でた。

「もう一度信じたい気持ちになれたのは、お前のおかげなんだよ……」

と、囁きながら。