こじれた恋のほどき方～肉食系上司の密かなる献身～

裏切られたことのある人にしかわからないだろう。失った信用を取り戻すのに、どれだけ年数がかかるのか。俺はいまだにマックスを恨んでいる。十年経ったいまでも、失った信頼は崩壊したままだ。

それから、彼女は各部署から発言の意図の詳細を問われ、ひとりで戦っていた。満場一致をひとりで覆そうというのだから、彼女の根性は見上げたものだ。それに、話を聞いているとちゃんと筋が通っている。プライドを持って今まで仕事をしてきた男にとって、彼女の発言はチクリと痛い。そして小生意気に聞こえるだろう。

敵を作りやすいタチなんだろうな。新人のくせに……。

純粋が故のまっすぐな気持ちというのは、時にぽっきりと簡単に折れてしまう。彼女は輝いていて、曲がったことが嫌い。そして妥協を許さず嘘をつかない目をしていた。彼女から目が離せなくなったのは、今思えばもうそのときからだったのかもしれない。ひと目惚れなんて俺に限って絶対ない。そう思っていたがやはりこの世に絶対という言葉はなかった。

俺は彼女に惚れたのか？　まさか……な。