私が男性社員から煙たがられていると香奈が言っていたけれど、きっかけになった原因は身に覚えがある。自分だけを信じていれば大丈夫だと思っていたけれど、結局そんな気概にも限界を感じていた。それなのに、私はそんな自分に気がつかないふりをしていた。

「今もですけど、私は精神的に未熟なんです。失恋の痛手や仕事でのストレスを……その、不倫という方法で憂さ晴らししていたかと思うと。私は汚い女なんですよ、だから最上さんの婚約者だなんて形だけだったとしても……きっと私は相応しい相手じゃない」

初めてこんなに自分のことを喋った。愚痴にも聞こえる話だ。こんなことを聞かされて彼はどう思っただろうか。

学生の頃は、小さなことでも一喜一憂して純粋に恋愛というものができていた気がする。けれど、それは私があまりにも何も知らな過ぎて子どもだったからだ。大人になると、色々なことを経験する。失恋、裏切り、嘘……。そして次第に嫌なこと辛いことから身を守る術を身に着ける。大人のこじれた恋愛なんてこれほど厄介なものはない。