「ちょっと来るのが早かったですよね。午後からっていってあったんですが、ちょうど仕事にきりがついたもので。最上さんからあなたのお世話をするように言いつかってますので、なんなりとお申し付けください」

地毛であろう猫毛の髪は濃茶色で、触るとさらっと指どおりもよさそうだ。色白で最上さんより少し身長は低いけれど、日本人なのにどことなく西洋人の血が入っているんじゃないかと思うくらいに綺麗な顔立ちをしていた。まるでお屋敷の執事のような風貌だ。
小宮さんとも色々話をしてみたかったけれど、今は眠りたい。

「顔色が優れませんね。まだ熱があるのでしょう、ゆっくり休んでください。私はリビングにいますので」

私が風邪をこじらせている話は聞いているみたいだ。

「すみません、そうさせてもらいます」

にこりとするその笑みに私は甘んじて、再びベッドへもぐりこんだ。

最上さんの移り香がほんのり布団から香っている。まるで彼から抱きしめられているみたいで妙な妄想をしてしまう。

最上さんといると不思議だ……。