「車に引かれた拍子に、頭を強く打った見たいなんだけ

ど……。打ちどころが悪かったのか、血が止まらなくて、命を

落とす危険性もあったんだよ。」

私は、頭が追いつかず、ただ分かるのは私のせいで翔也が命

を落としかけたということだ。

「翔也は……目を…覚ますんですよね…?」

私は、声を震わせながら涙をこらえる。

まだ、現実を否定したい気持ちがあったのか私は心の中で葛

藤しながら何度も「目を覚ます」という単語を試みた。

「私にも分かりませんが、ただ今の状況からして、彼が目覚

める可能性は少ないでしょう。このまま目覚めない可能性も

あるかと…。」

「……!?…嘘だ…!」

私は、病室を出て全力疾走した。

嫌な記憶、悲しい記憶、そして現実を受け止めきれない自

分。

私は、屋上まで走ると地面にへたりこんだ。

「なんで……、翔也だけ…目覚めないのぉ…。」

私は、頬から涙がこぼれた。

君との思い出が、一粒一粒大粒の涙となって消えていくよう

に…。

私の太陽は、今日消えた。

暗闇の道を歩み続け、あるのはただの君との思い出だけ…。

見えなくなったかのように…、無かったかのように…、それ

は突然失われたのだ。