『……ひろ!ちひろ!』

…?…誰…?

『もう〜お寝坊さんなんだから〜』

顔を上げると、1人の女性が柔らかい笑みを浮かべながら私の目の前にいた。

どこか懐かしい雰囲気をまとったその女性は、ふわりと私の頭を撫でる。
顔はよく見えない。

だけど、なんでだろう…。
この人を見ていると、胸が苦しくなる。
私に優しくしないで…優しく笑いかけないで…。
あなたは……。

「…?ちひろ??」

「……っ!あ…沙耶…」

体を揺すられて目を覚ます。
心配そうに私の顔をのぞき込む沙耶の顔を見て、どこか安心した。