「ふぁ〜…。眠たーい。」
眠たい目を擦りながら、気の乗らない足取りで教室に入る。
新学期になって早1ヶ月。
新しい教室に入った頃のみんなの初々しさはなくなって来ていた。
私にとっては高校二年生になってまだ2回目の教室。
「んー…時間の流れは早いね〜…」
自分がどこの席かなんて覚えていない私は、一番後ろの窓際の席に腰掛ける。
ひんやりとしか風邪が私のほほに触れる。
「ちーひーろ!」
「わっ…!びっくりしたっ。沙耶(さや)おはよ〜」
いきなり後ろから体重をかけられ、びっくりのあまり少し声が高くなる。
振り向かなくても声の主が誰であるか、はすぐにわかった。
「ちひろやっと学校に来た〜。ちひろいないから私暇してたんだよ。」
「ごめん、ごめん。久しぶりだねっ」
沙耶は中学の時からの友達。
金髪ショートの似合う美人さん。
身長も私より12cm高い164cm、スタイルもいい。
モデルになることを進めたけど、興味が無いしめんどくさい、らしい。
結構サッパリした性格の女の子だ。
他の女の子みたいに暑苦しい感じがなくて居心地がいい。
「ねぇちひろ〜、今日の夜クラブ行こ〜」
「いいよ〜」
「ただ酒〜♪」と、沙耶は機嫌の良さそうな声を出しながら携帯を触りだす。
時々子供っぽいところ、ギャップでかわいいんだよね。
私は沙耶の横顔から目を離し、顔を机に突っ伏した。