鈴木壱成(いっせい)はファイルをめくっていた手を止め、目を見張った。 その視線の先には1年前まで、 自分の名前の次に何度も探した名前が 載っていたからだ。 『佐藤結衣』 まさか!よくある苗字だし、 同姓同名の他人かもしれない。 でも… 壱成はポケットに入っていたスマホに手を伸ばしかけた。 が、迷った挙句開いていたファイルをパタンと閉じて元の位置に戻し社務所から出ていった。