「お誕生日、おめでとう。」

「何で今頃いうの?あの日に言ってもらったから。」

「だってみんなあの日に言っただろう?」

まあ、そうだ。
あの日の朝には言ってくれず、夜に言ったのは匠だけだった。

「なあ、誕生日なんてあの日の前から知ってたけど。」

「そう。そんな話もしたかもね。」

「でも俺の誕生日知らないだろう?」

「ん・・・・・・、知らない、聞いてないかも。」

「その話の時に言ったけどな、まあいけど。」

何の恨み言?そういえば自分の時にはお返しをしろとか言われてた。
あれは冗談でしょう?

「だから、ちゃんとお前のためにレストランも甲斐に聞いて雰囲気のいいところを予約して、千葉に相談してプレゼントも用意した。他の誰かの為じゃなくて、坂本のために買ったのに。」

「ええ~、知らない。だって、私の知ってる先輩の為とか何とか・・・・?」

「誰だよ、そんなことを言ったのは。」

「匠だよ。」

「言ってないって。あそこに行くのも初めてだったし、サプライズがあるからって言ったじゃないか。プレゼントを渡してちゃんとお願いするつもりだったのに。」

「何を?」


「お前は、何でそこで『何を?』とかとぼけたことを聞けるんだ?付き合ってくれってお願いするに決まってるだろう?」

「はぁ?」

「だから何でそれ以外で誕生日に会ってプレゼント渡すよ?普通そうだろう。」

「だって、気まぐれだからいいやって、言ったじゃない。」

自分でひっこめたじゃない。

「お前が他に誘われたかった人がいるって言うから、好きな奴がいると思うだろう?だったらマヌケだろうよ。どんだけガッカリしたか。千葉も知らないってどんだけ秘密で片思いしてるんだって思ったけど。昨日しつこく甲斐が聞いて、いないらしいって言ってたって。プレゼントももらえなくて寂しそうで、自分で買うって言ってるって教えてくれたよ。」

「ああああ・・・・・、甲斐君、それで聞いたの?何だかしつこいし、朝からズケズケと失礼だと思ったら。」

「なあ、甲斐のことはいいよ。きっと千葉と二人でいろいろ話をしてくれたんだろうから。」