「……そうだ。
せっかくだし、二人きりで話してきたはどうかな?」
「それはいいですね。
…菜穂、自分の部屋に案内してあげなさい」
「……え?」
社長さんとお父さんで、勝手に話が進む。
上条くんはさっきから一言も話さないし、私はオロオロしてるし。
もう言う通りにするしかなかった。
部屋は片付けてるから別に大丈夫、だけど……上条くんと二人きりだなんて気まずい。
だって、一応プロポーズされて断ってる身だし…あれ以来話してもいないから。
けど今更無理だなんて言えなくて、私が立ち上がると上条くんも立ち上がった。
もしかしたらこの後、大人たちで仕事の話をするから私たちが邪魔なのかもしれない。
そう思ったら余計に断ることなんてできなくて、結局二階にある私の部屋へ向かった。



