これはチャンスだと思った。
秋野くんが作ってくれた、チャンス。



私が蓮くんに想いを伝えるために。
無駄にするわけにはいかなかった。



「嫌じゃ、ない…から…」
「……え…?」



「嫌じゃないから…私が蓮くんのことを好きだから、キスしてほしいって、思ったの…。


最初、結婚の話をされた時は戸惑ったけど…ずっと嫌じゃなかった。


蓮くんを知っていくたび、どんどん好きになってて…蓮くんが婚約者で良かったって。


逆に私が蓮くんの婚約者でいいのかなって、不安でいっぱいなんだ…」



言葉を詰まらせずに頑張って話そうとしたけど、内心はドキドキして緊張ばかりしていた。