「か、変わったのは蓮くん自身だから…私のおかげじゃないよ…」
「ううん、きっかけをくれた菜穂のおかげだよ。
でも菜穂はこんな俺を気持ち悪いと思わないの?」
「え…?どうして?」
「どうしてって、菜穂のこととか調べたりしたんだよ?
出会ったのも必然なわけだし、菜穂のお父さんの経営が悪くなっていってるのも知ってた。
だからプロポーズで無理だったら最終手段で政略結婚にしようと思ってたくらいだし」
「そ、それでも気持ち悪いなんて思わないよ…?
だって蓮くんは誰よりも優しい人で、温かい人だし、私の憧れでもあったし…全然気持ち悪くなんてない」
そう言って私が笑えば、蓮くんはそっと私を抱きしめる。
やっと抱きしめてくれた、だなんて思ってしまう私の方が気持ち悪いのかもしれない。