「昔の俺ってね、だいぶ捻くれた性格してたんだよね」
今もかもしれないけど、なんて付け足して笑う蓮くん。
その笑顔はどこか作ってるように感じた。
「小さい頃は、親が俺に後継がせようとして必死だったんだ。
今みたいに優しくないし、ずっと厳しくて英才教育っていうのかな?色々習い事させられたり勉強とかも嫌々だけどやらされてた。
本当に嫌で何度も言ったけど親は聞いてくれなくて、全部諦めてたんだよね。
だから親も嫌いだったし、こんなにやらされてるのに周りは“社長の息子だからいいよね”って目で見てくるし。
なんなら人自体嫌いだったなぁ、あの頃は」
知らなかった、昔のこと。
ずっと蓮くんは辛い思いしてきたのだ。
それこそ私には想像もできないくらいに。



