「…やっぱりそうなるよね」
「だ、だって……」
どういうこと?
私と蓮くんはいつで会ったの?
「覚えてない?
今日のホテルで昔も父さんが主催したパーティに、菜穂と菜穂のお父さんが参加してたんだ。
小さい頃だったけど、俺は印象が強くて今も忘れられないよ」
蓮くんが懐かしそうな顔をする。
その眼差しは温かくて優しいものだった。
小さい頃にもパーティ…じゃあ、やっぱり私はお父さんと一度来たことがあるんだ。
思い出せ…とりあえず大きくてはしゃいでいたのは記憶に残ってる、けど……。
『同い年なの!?
すごくかっこいい人だねぇ!』
その時ふと、また記憶の断片が脳内で再生される。
「……あ…」
なんとなくだけど、思い出したかもしれない。
私と同い年の男の子がいたことに。
お父さんに同い年だって言われて、まだ小さいのにすごいなって思った記憶がある。
でもその男の子は確か……。
「思い出した?
多分、昔の面影なんて一つもないと思うけど」
蓮くんは苦笑した。
そう、私が思い出した男の子は無表情で、冷たい目をしていた、はず。



