「菜穂、難しい顔してどうしたの?」
「…あっ、蓮くん」
髪が少し湿っている蓮くんはどこか色っぽさがあり、まだ慣れない。
ここまで何しててもかっこいい人っている?
蓮くんはいつものように私の隣に座った。
「何か考え事でもしてたの?」
「あっ、う、うん……今日のホテル、絶対知ってるなって…」
「まだ思い出せてないんだ」
蓮くんはそう言って小さく笑った。
絶対記憶力のない馬鹿だって思われたよね…。
実際そうなのだから仕方がない。
すっかり忘れてしまっているのだから。
「じゃあ、そんな菜穂にヒントね」
「えっ…ヒント…?」
ヒントって、どういうこと?
だって、ヒントっていうことは、蓮くんは答えを知ってることになるよ…?



