「そうよ、昔はもうやばかったんだから。
無愛想だし驕り高ぶってるし。
“俺は後継であるすごい男なんだぞ”って言ってるような感じがして嫌だったのよね。
子供のくせして大人ぶってさ、嫌だったなぁ」
その女の人の本心なんだろうけど、言っていいことと悪いことがある。
しかもここには蓮くんもいるわけだ。
どうしてそんなこと、堂々と言えるの？
女の人の言葉に驚いた以上に、許せなかった。
「えーっ！そうなの？」
「もしかしたら今も思ってるかもね。“お前らと俺は違うんだ”、みたいな？」
「うわーっ、思ってそう！
ずる賢いわね絶対！」
蓮くんが今までどんな思いでここまでやってきたのか、私だってわからないし、その人たちも知らないのに。
「…あ、あの…！」
気づけばその女の人たちのところへ行き、声をかけていた。
「も、桃原様…！？」
隣にいた執事さんにも驚かれたが、もうその言葉は私の耳に届いていなかった。
