だけど蓮くんじゃなしに私に対してのことだから、聞こえなかったふりをしようとする。
でも、こそこそと話す声は止まらなくて、周りにまで広がる。
「もし中小企業の方なら…」
「ご両親は何かの社長なのかしら」
「社長だとしても小会社なら釣り合わないだろう」
さっきまで、頑張ろうと思っていたのに、一瞬にしてその気持ちが消えてしまう。
どうしよう…苦しい。
息がしにくくなる。
そりゃそうだ。
私なんかが、蓮くんの隣にいること自体おかしいというのに。
ただ、泣くのだけは我慢しようと思い、自分の手をぎゅっと握ったその時……。
「……人自身の価値は位やお金で決めるものじゃないと俺は思います。
この子は今までもこれからも、俺の心の支えになってくれる人です。
どうか温かく見守ってください」
蓮くんはそれだけ言って、頭を下げ私の腕を引き、会場内へと歩いて行く。



