「どうしてわざと避けたの?」
蓮くんの声が落ち着いていて、低い。
やっぱり私が蓮くんを避けたこと、バレていたようだった。
「ご、ごめんなさい…」
「謝っても許さないからね。
俺は悲しくて泣きそうだ。
だって菜穂が…菜穂が、俺のこと避けたんだよ…?
ねぇ、苦しくて死にそう…こんな世界の終わりのような気持ちになったの初めてだ…」
蓮くんが眉を下げて悲しそうな顔をする。
どうしよう、蓮くんを傷つけてしまった。
だから私は急いで誤解を解こうと思った。
「れ、蓮くん落ち着いて…?
あの、恥ずかしくて…耐えられなくなったから、その…避けただけで…」
「……じゃあ、証明して?」
「えっ…?」
「俺が嫌で避けたんじゃないって。
そうだなぁ…菜穂からのハグがいいな」
蓮くんがじっと私を見つめる。
その瞳から逃れられそうにない。



